2003/07/01 UP
 
フローラル・デザイナー、渡部真由美さん
毎日お花に囲まれて仕事ができるなんて。
女性なら誰でもあこがれてしまうフローラル・デザイナーの仕事。パーティやウェディングのお花のコーディネートはまさに華やかなイメージそのもの。でも、花は生き物。バックステージではいつも時間との戦いなのだとか

フローラル・デザイナーを始めて8年になる真由美さん。現在はホテル内にあるフローリストで、フローラル・デザイナーとして働くかたわら、フリーランスでウェディングなどのお花を手掛けている。もともとNYには語学留学で来たという真由美さん。フローラル・デザイナーを始めたきっかけは・・
  「日本にいた頃、友人が生け花教室を始めたんです。それで友達ということもあって、なんとなくその教室に参加することに。それまでお花にはまったく興味がなかったのですが、このとき初めてお花に触れて、『こういう表現方法があるんだ、おもしろいな』と感じたのを覚えています。でもこの時点では趣味のひとつ程度のものでした。その後、NYに語学留学をすることになって。一応、面目は語学留学だったのですが、今思い返してみると心のどこかでお花のことがずっと気になっていたようです。いつも心のどこかで、『NYでお花で何かできないかな』って考えていたような気がします。でも、どこから始めていいのかわかりませんでした。それでまずはお花のクラスを受けてみることにしたんです」
そして真由美さんは、マンハッタンにあるParsons School of DesignでFloral Designのコースを受講することに。ここまでお話をうかがって、『じゃぁ、ローラル・デザインの基礎はここで学ばれたんですね』、と言いかけたところ、  
「それが・・。私が学びたい、知りたいと考えていた内容とはぜんぜん違ったんです。なんだかそこで教えてくれることと自分の中のやりたいことのズレが大きくて、がっかりしてしまいました。『お花で何かをやりたい』という気持ちはどんどん大きくなっていくのに、学校がだめならどこから始めたらいいのだろうとすごく落ち込んでしまいました。そんな私を見て、知人が鶴の一声とも言える発言をしてくれたんです。『それならいっそのことNYでトップと言われるデザイナーに弟子入りするしかない』。その言葉を聞いて、もう次の日にはそのデザイナーのフラワーショップに向かいました」
ここで真由美さんは「師匠とも言える人」に出会い、花の世界にどんどん魅せられていく。その人とは、NYのファッション業界や出版業界でひっぱりだこのフローラル・デザイナー。電話帳でお店の住所を調べて、店の前にたどり着いたのはちょうど閉店後の時間だったそう  
  「訪ねていくと、その時の私があまりにも情熱的!?だったのか何かに欲しているような顔付きだったのか、閉店後だったにもかかわらず中でお話を聞いてくださいました。そしてもう次の日からアシスタントとして、働かせてもらうことになりました」
そこではまさに修行の日々。でも、真由美さんのなかで知りたかったこと、技術として身につけたかったことがどんどんクリアになっていく。もうそれからは急加速的に“花”の世界にはまっていくことに  
  「アシスタントを始めてから4年、そろそろ自分でもデザインをしたいと思うようになり、デザイナーとして働けるお店を探すことにしました。そう決めてからは、働きたいフローリストをピックアップして、自分なりに第1候補、第2候補という具合にリストを作り、第1候補のところからレジメをドロップしていきました」
現在働いているお店は第1候補の中でも一番上にあったお店。面接に行った日がたまたま忙しく、人手が足りなかったので急遽手伝うことに。そして次の日にはあっさりと採用が決まった。  
  「他のお店からも面接のオファーを頂いていたのですが、今のお店に決めてしまいました。、直感で決めちゃった感じかな。仕事も充実してるし、後悔はなかったですね。ここはホテルの中にあるフローリストで、ホテル内で行われるウェディングやディナー・パーティーなど様々なイベントのお花をデザインしています。ホテル内のレストランやロビーに飾るお花も作りますし、お部屋へお花のサービスをすることもあります。もちろんホテル外のイベントも同じように手掛けています。その他ギフトの花束を作ったり、クライアントの邸宅に伺って玄関やお部屋のお花をアレンジすることもあります」
今のお店での仕事はデザインの面では任されているものの、仕事の内容やスケジュールはすべてお店が決めている。だからお店が取った仕事を次々にこなしていくというのが毎日の現状。花は生き物だから作り置きができない。常に時間との戦いなのだとか  
  「いつもイベントの前は大変な忙しさです。全体のデザインをイメージしながら、常にさまざまなことを考えて仕事をしているので、終わるとぐったりとしてしまう感じです。ストレスもすごくたまりますよ。だからお休みの日はただただボーっとしてます。ランドリーのまわってるのをボーっと眺めたりとか(笑)。それにお花っていうとキレイだと思われがちですが、いつも爪の中までまみどり色になるんです。洗ってもすぐには落ちないので、地下鉄に乗るときは手を見られないように隠してます(笑)」
直前にすべてを作り上げるというプレッシャーは大変なもの。きれいなお花を扱っているがゆえの苦労がある  
  「でも、サンキュー・カードを頂いたり、ウェディングの後日わざわざお電話でお礼を頂いたりするとストレスも忘れてしまうんです。私は特にウェディングの仕事が好きなんですが、もう何百回とやっているのにいまだに1人で感動してしまいます。ウェディングって女性にとって最高に幸せな瞬間で、その瞬間を引き立てるお手伝いをできることがなによりも楽しいですね」
これまで数々のウェディングを手掛けてきた真由美さんは、実は名前を挙げると誰もが知っているような有名人や著名人のウェディングをやったことも。でも誰のウェディングをやったのかではなくて、たくさんの人のウェディングのお手伝いを手掛けてきたという充実感を大切にしているそう  
「お花は生き物だから永遠のものではない。美しく咲いてパッと散っていく。最高に贅沢なものだと思います。そこがお花の醍醐味ですね。せっかく与えられた贅沢な仕事。これからもお花が運んでくれる人との出会い大切に、いろんなことにチャレンジして自分を高めて行きたいなと思っています」
(Text: HINA)  
NYのこと質問!
NYに来たきっかけは?
「何回か旅行で来てすっかりNYの街が気に入り、95年に留学することに。そのときはハンターカレッジのESLに通いました」

NYで活動していて感じたこと
「NYは、ウェディングももちろんそうですが、ディナーパーティーやファッションショーなどのイベントでふんだんにお花をつかいますし、誕生日や記念日、あるいは単に“Thank you”の言葉としてお花を贈る習慣が浸透していて、“花のつかいかた”を熟知している街だなと感じています」

NYでお気に入りの場所!
「NYらしくてとても好きな場所は、グランドセントラルステーションです。あそこのいろいろな人の行き交う雰囲気が、まさに“出発”というイメージで、行くたびに気が引きしめられます」

Grand Central Station
East 42nd Street
(Bet Park and Lexington
Ave)
212-340-2583

grandcentralterminal.com

真由美さんにとってNYとは?
「いろんな意味で自分を見つけることができる場所。毎日の生活のなかでそう感じています。あきない街です!」
お花に囲まれた仕事場
フラワーマーケット
マンハッタンの28丁目のブロードウェイから7アベニューの間に、生花の卸売店が並ぶフラワーマーケットがあります。基本的には卸売りが専門なので、一般の人がお花を買うことはできないのだけど、お花の仕事に興味のある人は朝早くに行ってみると雰囲気があじわえるかも。
Mayumiさん作センターピース
INTERVIEW バックナンバー
01: Yuko Ota/Hat Designer
02: Mayumi Watanabe/Floral Designer
  03: Ayako Shirasaki/Jazz Pianist
  04: Maki Yamamoto/Fabric Designer
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